ぶどう膜疾患・網膜疾患
ぶどう膜疾患・網膜疾患
ぶどう膜疾患とは、眼球の中にある「ぶどう膜」と呼ばれる組織に炎症などが起こる病気の総称です。
ぶどう膜は、虹彩・毛様体・脈絡膜からなり、目に栄養を供給したり、光を調整したりする重要な役割を担っています。
これらの部位に炎症が生じると、視力や見え方に影響を及ぼすことがあります。
ぶどう膜疾患は、発症部位や原因によって症状や経過が異なり、早期の診断と適切な対応が重要とされています。
ぶどう膜疾患の原因はさまざまで、はっきりと特定できない場合も少なくありません。主な原因として、以下のようなものが挙げられます。
症状は炎症の部位や程度によって異なりますが、以下のような症状がみられることがあります。
症状が軽度であっても、放置すると視機能に影響を及ぼす可能性があるため、気になる症状がある場合は受診をおすすめします。
診断のため、症状や経過を詳しくお伺いしたうえで、必要に応じて以下のような検査を行います。
※検査内容は、症状や状態に応じて選択されます。
治療は、炎症の部位や原因、症状の程度などを考慮して行われます。
治療の内容や期間には個人差があり、経過をみながら調整していきます。
網膜は、眼球の内面を覆う非常に薄い組織であり、光を感じ取り、その情報を電気信号に変換して脳に伝達するという、視覚において極めて重要な役割を担っています。カメラに例えるならば、フィルムに相当する部分です。網膜には、光を感じる視細胞が多数存在し、これらの細胞が受け取った光の情報は、視神経を通じて脳へと送られ、そこで画像として認識されます。網膜に疾患が生じると、視力低下、視野異常、変視症(ものが歪んで見える)など、日常生活に大きな支障をきたす深刻な症状が現れることがあります。
加齢黄斑変性は、加齢に伴い、網膜の中心部である黄斑に異常が生じる疾患です。黄斑は、網膜の中でも特に中心視力を担う重要な部分であり、視力の中でも、特に細かい文字を読む、人の顔を認識する、色を識別するなど、日常生活において重要な役割を果たしています。この黄斑の機能が低下することで、視力低下、変視症、視野の中心が暗くなるなどの症状が現れ、日常生活に大きな影響を与えます。
加齢黄斑変性は萎縮型と滲出型とに分けられます。治療法としては、現在のところ、萎縮型に対しては根本的な治療法はありませんが、サプリメントの摂取などが進行を遅らせる効果があると考えられています。滲出型に対しては、抗VEGF療法(血管新生を抑制する薬を眼内に注射する治療)、光線力学療法(特定の波長のレーザーと薬剤を使用する治療)、レーザー光凝固(異常な血管をレーザーで焼き固める治療)などが行われます。
加齢黄斑変性は、早期発見、早期治療が大切になるため、定期的な眼科検診が推奨されます。特に、高齢の方や、加齢黄斑変性のリスク因子を持つ方は、定期的な検診を受けるようにしましょう。
糖尿病網膜症は、糖尿病による高血糖が原因で、網膜の血管が障害される疾患です。高血糖の状態が続くと、全身の血管が障害され、網膜の血管も例外ではありません。
糖尿病患者の約4割に発症すると言われており、糖尿病罹病期間が長いほど、また、血糖コントロールが不良であるほど、発症リスクが高まります。
初期には自覚症状がほとんどないため、定期的な眼科検査が非常に重要です。症状がないからといって放置していると、病気が進行し、重篤な視力障害を引き起こす可能性があります。
進行すると眼内で出血を起こして手術が必要になることもあります。
糖尿病網膜症は、病気の進行度合いによって、単純網膜症、前増殖網膜症、増殖網膜症の3つの段階に分けられます。
初期の段階で、網膜の血管に小さな出血や白斑が見られます。
網膜の血管がさらに障害され、血管の閉塞や出血が起こりやすくなります。
最も進行した段階で、網膜や視神経乳頭から新生血管が発生し、硝子体出血や牽引性網膜剥離を引き起こし、失明のリスクが高まります。
糖尿病網膜症の治療法としては、血糖コントロール、レーザー光凝固、抗VEGF療法、硝子体手術(眼内の出血や濁りを取り除く手術)などがあります。
糖尿病の治療の基本であり、網膜症の進行を抑制するために非常に重要です。
網膜の異常な血管をレーザーで焼き固める治療法です。
血管新生を抑制する薬を眼内に注射する治療法です。
眼内の出血や濁りを取り除いたり、牽引性網膜剥離を治療したりするために行われます。
糖尿病と診断されている方は定期的な眼科検診を必ず受けるようにしてください。糖尿病と診断されたら、すぐに眼科を受診し、その後も定期的に検査を受けることが、糖尿病網膜症の予防と早期発見のために非常に重要です。
網膜剥離は、網膜が網膜色素上皮から剥がれてしまう疾患です。網膜色素上皮は、網膜を支え、栄養を供給する役割を担っています。網膜が剥がれてしまうと、網膜への栄養供給が途絶え、視細胞が機能しなくなり、放置すると失明に至る可能性のある、緊急性の高い疾患です。
原因としては、加齢による硝子体の変化、強度近視、外傷、網膜裂孔(網膜に穴が開くこと)などが挙げられます。
症状としては、飛蚊症(黒い点や糸くずのようなものが見える)、光視症(光が走って見える)、視野欠損(視野の一部が見えなくなる)、視力低下などが現れます。これらの症状は、突然現れることもあれば、徐々に進行することもあります。
網膜剥離は、裂孔原性網膜剥離、牽引性網膜剥離、滲出性網膜剥離の3つのタイプに分類されます。
網膜に裂孔が生じ、そこから硝子体の水分が網膜の下に入り込んで剥がれてしまうタイプで、最も多いタイプです。
糖尿病網膜症や増殖性硝子体網膜症などにより、網膜が硝子体に引っ張られて剥がれてしまうタイプです。
網膜の下に液体が溜まって剥がれてしまうタイプで、炎症や腫瘍などが原因で起こることがあります。
網膜剥離の治療法としては、レーザー光凝固、網膜冷凍凝固、硝子体手術などがあります。
網膜裂孔を閉鎖するために行われます。
剥がれた網膜を元の位置に戻すために行われます。
急激な飛蚊症の増加や、光視症を感じた場合は、網膜剥離の初期症状である可能性がありますので、すぐに眼科を受診してください。早期発見、早期治療が視力予後を大きく左右します。
網膜静脈閉塞症は、網膜の静脈が詰まることで、網膜に出血や浮腫(むくみ)が生じる疾患です。網膜の静脈は、網膜の血液を心臓に戻す役割を担っています。静脈が詰まってしまうと、血液が網膜に滞り、出血や浮腫を引き起こします。
発症のリスクとしては、高血圧、動脈硬化、糖尿病、高コレステロール血症、緑内障などが挙げられます。
症状としては、視力低下、視野欠損、変視症などが現れます。症状の程度は、閉塞した静脈の場所や範囲によって異なります。
網膜静脈閉塞症は、網膜中心静脈閉塞症と網膜静脈分枝閉塞症の2つのタイプに分類されます。
網膜の中心にある中心静脈が閉塞するタイプで、視力予後が悪いことが多いです。
網膜の静脈の枝が閉塞するタイプで、閉塞した場所によっては、視力への影響が少ない場合もあります。
網膜静脈閉塞症の治療法としては、レーザー光凝固、抗VEGF療法、硝子体手術などがあります。
黄斑前膜は網膜の黄斑という視力に最も関わる場所に膜が張る病気です。黄斑円孔は、黄斑の中心部に穴が開いてしまう疾患です。黄斑は、網膜の中心部にある、視力の中でも特に中心視力を担う重要な部分です。いずれも視力低下や変視症などの症状が現れ、日常生活に大きな影響を与えます。
原因は、加齢による硝子体の変化、外傷などがあります。
症状としては、視力低下、変視症、中心暗点(視野の中心が見えなくなる)などが現れます。
治療法としては、硝子体手術が行われます。硝子体手術では、硝子体の一部を切除し、網膜の内境界膜を剥離することで、黄斑円孔の閉鎖を促します。
黄斑円孔は、早期発見、早期治療が大切です。視力低下や変視症などの症状が現れた場合は、早めに眼科を受診するようにしましょう。
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